「作法」といっても、お茶、お花の話じゃありません。報道カメラマンのふるまいの話です
いろいろあるけど、まずカメラの構え方。入社して先輩に最初に教わるけど、問題は縦位置の構え。普通のプロカメラマンでも右手が上とか下とかバラバラなんだけど、新聞社の場合は縦位置だと必ず右手を下にして構えます。なぜかわかりますか? 右手を上にすると横の人にぶつかったり、後ろの人の邪魔になるから
記者会見とかたくさんのカメラマンがぎゅうぎゅう詰めになって撮る場合、縦位置の場合は何かと右手を下にした方が邪魔になりません
カメラマンって変な人が多いけど、さすがに大勢が集まるところで右手を上は見たことがありません。前に習っていた物撮りの先生は右手を上にして撮っていたけど、広告系の人は右手が上の人が多いみたい
あと大勢で撮る時は、撮影ポジションが大事で、その場所取りも「抽選」「早いもの勝ち」などで状況が変わります。また、ポジションが決まってから遅れて行っても割り込まずに、後ろの悪い位置から撮るのが礼儀というもの。日本人はその辺の作法がきっちり分かっている
これが海外の取材になると日本の作法が通用しない。例えば、ファッションのパリコレクションなどに行き、早くから受付で待ち、時間になってフォトポジションに行くと、なぜか良い場所はすでに場所取りされているそうです
よーく事情を聞くと、業界のコネで開場前に関係者が替わりに場所取りをしているそうなのです。いくらコネがたくさんある人でも日本人ならコネを使わず、並んで場所取りするのが美徳というものなんだけどなぁ
よく、一流のプロスポーツ選手の親が、早朝からチケットを買いに並んだみたいなことです
日本国内でも経験があります。日本で行われたイタリア有名ブランドのファッションショー行った時のこと。受付時間の30分ほど前に並び、受付が開くと同時にダッシュでフォトポジションへ行くと、すでに外国人カメラマンが10名ほどいて、ほとんど良い場所がありませんでした
「こいつらなんでいるんや?」
と思いつつも、現場はお互い顔見知りの外国人カメラマンで雰囲気はパリコレにいるよう
日本に来てまで郷に従わず、コネで先に入っているあたりが、日本人の僕にしては理解不能でした
僕を含め後から入った、日本人カメラマンの数人は、喧嘩せずに粛々と後ろの悪い席でベストを尽くして撮影したところが、日本人の美しい作法というところでしょうか?
日本人が礼節をわきまえて出遅れるところが、今の世界の縮図のようにも思えた