オリンピックになると紙面に大きく写真がのることが多い。今日は掲載サイズによる写真の扱い方についてお話する
写真コンクールの担当をしていると、入選者に対して「元のデータを送ってください」とお願いする。すでにデータで応募していても、もう一度CDなどに入れて送ってもらう
「無駄だなぁ」と思うかも知れないけど、ネット上で持ってきたデータかも知れないので、本当にデータを持っているか調べるためだ。ちなみに怪しい場合は入選したコマの前後なんかも送ってもらうこともある
中には、「私は画像補正の達人です」と言って、元データを送らず、ガチガチに補正したものを送ってくる人には困ってしまう
おそらく、そのデータで「おうちプリント」したら、好きな調子にプリントされた、くらいの話なんだけど、そのまま新聞やネットで掲載するわけにはいかない
そういう場合は穏便に電話で「何もしない元データをください。なければ失格になります」とお願いすることになる
ここまで話して、ピンとこない人は要注意! たぶん画像補正の本質が分かっていないかもしれない
新聞社のデータの流れはこうだ

小さな新聞掲載 コントラスト高め シャープネス高め 彩度高め
大きな新聞掲載 コントラスト低め シャープネス低め 彩度低め
同じデータでも掲載サイズによって画像補正が異なる。要するに小さな掲載だと図柄が分かりにくいので派手に補正するということだ
なので自称画像補正の達人が補正したガチガチのデータでは、調整するのが難しいということなのだ。眠くてもなんでもよいので絶対元データから直したほうが良いのに決まっている
オリンピックが始まって、1ページ大の長辺50センチほどの写真が連日掲載されているけど、本当に魂を削りながら慎重に画像補正が行われている
写真のどの辺に視線誘導させるか?
シャープネスをどれくらいかけるか?
濃淡のバランスは良いか?
色が破綻していないか?
もちろん最終チェックは画面で見るのではなく、紙面に近い色見本のゲラを出して行われる
「最後は紙かよ」
と笑うかも知れないけど、たぶん印刷業界の重要なチェックはみんなそうだと思う
ちなみに長辺5センチほどの小さな掲載の場合は、画面で小さく同じサイズに表示しながら補正するのを知っているかな? 知らないと画像補正のスキルがバレバレだ

小さく表示して確認する
この考えを写真愛好家目線で落とし込むとすれば、コンクールの応募作品ってサイズがあるでしょ。小さな応募サイズは派手目で大きな図柄が通りやすく、大きな応募サイズは普通の仕上げで、細かい図柄が通りやすい。応募サイズによって写真を変えろということなんだ
審査員歴が長い、僕だから分かるのだけどね