事務所と懇意にしてもらっているWさんのライブに行った。いつも一流のバンドと共に素晴らしい歌声にいやされる。バンドはすごくうまいけど、演奏家として活動するのではなく、オファーがあって、そこに楽器ひとつで現れるスタジオミュージシャンという人たちだ
Wさんのインスタを見ているとライブ前のリハーサルは1度だけ。たぶんミュージシャンらは1時間くらい前にスタジオ入りして、軽く初見で演奏してリハーサルに臨む感じだろう。確認するだけで練習という意味合いは少ない
曲の好き嫌いはあるだろうけど、そんなのお構いなしに何でも演奏してお金にするのがスタジオミュージシャンというものだ。逆に自分の世界を追求するのが演奏家なのだろうなぁ
これって報道カメラマンとそっくりだ。僕らもジャンルによって得手不得手があるけど、それに関係なく撮影の仕事が回ってくる。いきなり取材現場に行って、紙面掲載を想像しながら、時間内に撮ってゆく。犯人の護送などは撮れないことが多いけど、普通の取材だと必ず撮り切ることが大事
たとえ風景写真でも、必ず取材日に仕上げてくる。日を改めると実働が1人減るわけで、職場に迷惑がかかる
「今日は天気が悪いので日を改めましょう」
なんてことはあり得ないし、どんな条件でも80点くらいの写真を紡ぎださなくてはならない。紙面が組める写真を揃えるのが第一条件で、写真が良ければ更に良い、という世界なんだ
逆に「写真家」と呼ばれる人は、好きな仕事だけ受託して、自分の作品撮りも納得するまで粘れば良い。風景写真を撮る写真家なんかは、何日も通うのが当たり前で、同じ撮り手としても全く職種が違う感覚だ
ただし、いきなり写真家を名乗っても、写真展を開催できるほどの作品を撮りためる必要があるわけで、そこから企業カレンダーや広告の仕事までに結び付く人は一握り。収入が不安定なのでヒマな時間で撮影ツアーのガイドを行ったり、写真のセミナーを開催したりする人が多い
ネット情報がふえて、
「デジタル写真集などが安く発表できるようになった」
「SNSで中間マージンなしに集客できるようになった」
など状況の変化に対応している写真家はうまく収入を得ているみたいだけど、逆にSNSばかりがうまくて、写真が下手なんて人もいて
「どうだかなぁ」
と個人的には思っている
報道カメラマンは、まだ昭和な感じで
「先輩の技を盗め」
みたいな徒弟制度が残る世界
とにかく
「ボールがググッと来たらバシッとシャッターを押せ」
みたいな感覚で撮影だけを覚えてゆく
「写真がうまくなるにはカメラマン、好きな写真を撮るには写真家」
といったところか。もし読者が定年後に写真の活動を行う時、絶対に写真家を目指したほうが良いと思う。カメラマンは被写体ごとのオペレーションが多く、若くないと覚えられない気がする。写真家だったら、好きな分野を追求すれば良く、しかも威厳があるので絶対にお勧めだ
会社を辞めて写真家になる人いますか?
ここ数十年聞いたことがないですね。定年後に写真クラブの顧問とかやって、「写真家」を名乗る人は結構いますが、それも年金をもらいながらの副業程度で、ガチで作品撮りしている人はいませんね
写真家とお付き合いありますか?
写真の審査とか講演会とかで呼ぶので、かなり有名な写真家の多くとお付き合いしてきました。そのうえで、僕はぜったい写真家には向いていないと思いました