僕の撮影場所は95%くらいが室内で、そのほとんどがマニュアル露出での撮影だ。TTLや絞り優先オートを使うことはない。理由は簡単、ストロボを含め光源が安定した状態で撮影することがほとんどで露出を変える必要がないのだ
オート撮影の弱点は画角によって、露出がふらつくこと。例えば同じ人物でアップと上半身を撮ったときに、露出が違っていたら紙面で並べて掲載するときに良くないでしょ。そうなった場合は後の画像処理で合わせるのだけど、仕事が増えるだけ。最初からそろえて撮った方が楽なんだ
光源を一定にしてマニュアル露出がキホンなんだけど、最近、ニッシンからプロを意識したストロボが発表され、なんとラジオスレーブでマニュアル発光ができないという。「これじゃ使えない」とプロなら誰でも思ったはずだ。分かってないなぁニッシンさん、プロはマニュアルがキホンなのだ
とくにミラーレス化にともなって、マニュアルの出番が増えてきた。ミラーレスはファインダーで露出具合がわかるので、見ながら露出をシフトするだけなのだ。笑い話だが、五輪会場でミラーレスを使っているカメラマンが、競技によってレフ機に持ち替えることがあって、よく露出を合わせるのを忘れてしまうそうだ。なるほど、レフ機はいつも適正露出に見えてしまうよね
そんなマニュアルキホンの僕たちも、オートを使うことがある。
「ISO感度オート」だ!
例えば宝塚劇場で舞台を撮る場合、光線が目まぐるしく変わるので、細かく露出を変えるのはムリだ。そのため今日は
「F5.6 500分の1秒」で切る
と決めたら、あとはISO感度の上限をセットするだけ。明るい場所ではISO800とか下がって、暗い場所だとISO6400というぐあいに勝手にISO感度を変えてくれる。ちなみにD850ではきれいに撮れる上限のISO5000にセットしている
なんとありがたい機能なんだ。いまだにフィルム時代のクセで絞り優先オートなんて使っている人がいるが絶対ISO感度オートをお勧めする
相撲でも土俵と土俵入りでは3段分くらい露出がちがうし、サッカー場のピッチなんか場所によってもっと露出差がある。逆に、東銀座の歌舞伎座の舞台は端とセンターで照明がピッタリ合っていて感動した。もちろん花道は露出が違うのでISO感度オートは必須なんだけど。やっぱり舞台も新しいほど照明具合が良いみたいだ
また舞台撮影は主役にスポットライトが当たる場合が多く、そのままISO感度オートで撮ると、主役が白トビすることが多い。これは露出をマイナス1.5段補正くらいかけとけば、白トビしない
今はムリだけど、ミラーレスになって瞳AFができるので、そのうちスポットライトの主役も認識して白トビしなくなると思う。露出もAFもAIさまにニンゲンが太刀打ちできなくなり、最後に残るのは「画角」「トリミング」「光線」ということか。僕らも常にAIさまを超えてゆくのはつらいなぁ。でも超えられないカメラマンは生き残れないともいえる。カメラが簡単になり、カメラマン志望は格段に増えたけど、現実はきびしいよ。現実が見えていないだけなんだ
プロでも分かっていない
ISO感度オートは便利なんだけど、プロでもそのメリットを知って使っている人は少ないような気がします。昔だったらノイズが多くてISO800位が上限だったけど、今はISO6400くらいでも十分キレイなので、オートの補正幅が大きく使わない手はないでしょう。僕はそれと併用して「アクティブDライティング」の設定を変えて、暗部をどれくらい出すか現場で調整します。この辺の味付けは結構重要なんだけど、これも知らないプロは多いです
上記の設定を知らないプロって
あまり言われないことですが、銀塩の知識の延長線上で今も撮っているプロは、デジタルになって享受できるメリットを生かせてないです。たんに勉強不足で今更頭に入らないのかも知れませんが、やっぱり銀塩とデジタルは全く違うものです。銀塩はそんなに変化しませんでしたが、デジタルは日々改善があるので、注意しないと時代遅れになってしまいます。若い人は吸収力も高くて、デジタル向きなのですが、年齢が高くなると吸収力も衰えて、そこでいかに興味を持ってデジタルに接するかが大切ですね。僕も年を取ってやっとわかりました。そう考えると僕のこだわる「光線の作り方」は基本的に将来も変わらないので覚えて損はないですね。