撮った写真を出稿する前に、トリミングや明るさ補正の画像処理を必ず行う。今日はこの画像処理を「どこまでやって良いの?」という話をしたい
新聞社の補正のルールはかなりきびしくて、「あるものを消したり、ないものを描きこんだり」するのは絶対ダメ。風景写真で「電柱がじゃまだなぁ」なんて思って、フォトショップで簡単に消すと大問題になる。逆に、「ここに鳥が飛んでいれば」と思い、鳥を合成するのも同罪
新聞って膨大な情報の集まりだけど、その中に間違いが無いのが前提。少しでも誤りがあれば紙面全体の価値が毀損(きそん)してしまう
掲載後の指摘で悪い画像処理が判明したら、おわびを掲載すると共にそのカメラマンは会社をクビになるか、温情があっても写真を撮らない別の部署に飛ばされるだろう。そういうカメラマンは紙面制作には参加させないということだ
業界では有名な話なんだけど、以前に他社で、月を背景にコウノトリが飛んでいるすばらしい写真が掲載され、これが後から合成だと判ったことがある。よく見るとピントが月とコウノトリ両方に合っている。超望遠で撮っているのにおかしいと、写真を知っている人なら誰でも思うよね
興味ある人は画像を転載できないので
「コウノトリ 月とランデブー」
で検索して欲しい
後日おわびが出ていたけど、たしか試しに合成した画像のコンテを見た同僚が絶賛して、合成だとは言だせずズルズル載ってしまったそうだ。「うーん」なんだか気持ちはわかる。重要なページだと「3日やるから素晴らしい写真撮ってこい!」みたいなノリなので、言い出せなくなったのだろうなぁ
でも「撮れませんでした」と正直に言えないカメラマンは失格。がんばりどころで大きな仕事を任され、応えられないなんてよくあること。逆に期待されないのにスゴイ写真が撮れることもあるので、神様が与えてくれる運はみな平等なんだ
新聞社で許されている画像補正は
トリミング
明るさ補正(レベル補正、トーンカーブ)
色味補正
などが中心だけど、写真によっては時間をかけて高度な補正が行われる。補正のポイントとして
「視線の誘導」
がある。原稿に合わせて、見せたい主題に視線誘導することが重要なんだ
例えば、女優さんを撮ったとき、顔が暗くて背景ばかり目立っていては原稿と合わないでしょ。そういう場合は女優さんを明るく、背景を暗くして主役に視線誘導する
「簡単な画像補正だなぁ」
と思うかも知れないけど、実は顔や服などのマスクを切る(領域を取る)作業が大変で、大切な1枚で大人数のユニットになると20時間くらいかかることもある
まあそんな画像処理ばかりしていると、シゴトは終わらない。僕はなるべく現場で
①主題と背景の明るさのバランス
②ホワイトバランス
③露出
④アクティブDライティング(暗部の明るさ調整)
などをカメラで完璧に合わせて、後の画像処理が最小限のトリミングで済むように心がけている。特に①を気にする撮り手は皆無だと思うが、後の画像処理で時間のかかる部分なので念入りに光を調整する。とにかく補正が必要のないようにしっかり撮ることが最高の画像処理なんだ
間違っても、コウノトリを貼り付けるなんてやらないよ。重要な特集面を任させるようなことも無いけど
次回は「相撲をZ9で撮影、驚くべき結果が・・・」
報道カメラマンは画像処理の研修を受ける?
どこの新聞社も同じだと思いますが、昔の徒弟制度みたいなところが残っていて、先輩から教わるくらいしか覚える機会がありません。もっと徹底的に画像補正や紙面制作の研修を行うべきでしょうね。僕は画像補正の専門部署に異動していたことがあるので分かるのですが、、、一般のフリーカメラマンであってもしっかり学ぶ人は少ないんじゃないでしょうか
初心者はどうやって画像処理を覚えれば
これは永遠の問題ですね。しっかり学ぶには数十万円くらいかけないとダメです。よく聞かれるのが「画面通りにプリントするには」ということなのですが、画面のキャリブレーションから始まるので道は遠いですね。とりあえず、イメージ通りのプリントができるまで自分で画像処理ソフトを触るしかないですね。画像処理って簡単にソフトでできてしまうのですが、実は簡単に踏み込めない部分でもあります