北京五輪で活躍したカメラマンがやっと帰ってきた。2月20日が閉会式で、23日くらいには東京に戻って来たけど、それからコロナによる待機が1週間ほどあったので、やっと職場に戻った感じ
北京五輪は「バブル方式」とか言って、完全隔離状態。北京の観光ができるわけでもなく、どこかの合宿場に収監されて、そこから2カ月ほど毎日競技場に通う感じだろう。いつも胸に囚人のようなカメラマンの「ビブス」を付け、精神的に強くないと撮れないなぁ
さて、今日はその五輪に行ったカメラマンや知り合いのフリーランスから各社のカメラの評価についてちょっと聞いたので話したい
キヤノン、ニコン、ソニーとも最新鋭のミラーレス機を投入した。同じカメラマンが3社を撮り比べるのはできないけど、
キヤノン レフ機 EOS-1D X Mark3 + ミラーレス機 EOS R3
ニコン レフ機 D6 + ミラーレス機 Z9
ソニー ミラーレス機 α1 2台持ち
という組み合わせが普通で、いずれかのメーカーでの撮影になる。メーカーを混ぜて使うことは、ほとんど無いと思う。レンズも多くなるし、バックアップの意味もなくなるから
「あれっレフ機も使うの?」と思うかも知れないけど、各社のミラーレス機は直前に発売されたので実績がないのだ。ふつうは1年前のプレ大会の時に試すのだけど、今回はコロナの影響などもあって発売が直前になってしまった
いきなり冬季五輪でミラーレス機を使うのはリスクが大きすぎる。どのカメラマンも同じ判断だと思う
ここでいきなり結果発表!
総合優勝 ニコンZ9 殿
「おめでとうございます!」
僕もニコン使いなのでうれしいです。カメラ雑誌でいろいろ比較テストしているけど、それは机上での話。極寒の地ではニコンのZ9が一番使いやすかったとのことです
バッテリー問題
この差が大きく、ニコンZ9はマイナス20度の条件でも問題なく動きつづけたとのこと。電池の持ちが驚異的で、肌感ではD6よりも良いという話も。確かに僕も1日1000枚くらい撮っても半分も減らないものなぁ
ソニーα1でトラブルが発生、室内競技などでは問題ないけど、極寒の競技になると残量表示が半分くらいでもいきなり電源切れが発生。やっぱ低温でのメーカーとしての経験値が足りないのかなぁ。とにかくいきなりシャッターが切れないのでは五輪で使えない。今後、しっかり対応するのか、今のようにハイアマチュアターゲットに留めるのか。ありえない低温を想定するのはコストがかかるものなぁ
キヤノンR3は極寒でいきなり落ちたりはしないけど、もともと電池の減りが早いので、ミラーレスにこだわらないカメラマンはEOS-1D X Mark3を使った人も多いんじゃないかなぁ
画素数問題
ニコン Z9 4571万画素
キヤノンR3 2410万画素
ソニー α1 5010万画素
とキヤノンだけが画素数を下げて、高感度重視にしたのだけど、やっぱり画素数が小さいと使いにくい。一般の撮影だと問題ない画素数だけど、五輪の場合、小さくしか撮れなかったものをトリミングすることが多い。その時にR3ではダメなんだ。「高画素よりも高感度を選んだ!」というのは一見説得力があるのだけど、五輪って高校総体なんかよりも照明が明るいものなぁ
またミラーレスでは、1.5倍に拡大して撮るクロップ撮影をよく使う。レフ機だと、小さくトリミング枠が出るだけで使いづらかったけど、ミラーレスは拡大した画像がEVFで直接見られるのでとても便利なんだ
R3をクロップ撮影に切り替えると930万画素に落ちてしまい、使えないレベルなのだ。ソニー、ニコンだとクロップにしても2000万画素ほどあるのでこの差は大きい
高感度ノイズ
さすがに画素数の小さなR3が優秀だけど、後出しジャンケンのZ9も善戦したという話が。問題はα1でもっとも高画素だけあってノイズも大きい。肌感としてISO2400以上は厳しいという感じ。高感度でも適正露出で撮ればノイズも少ないけれど、五輪の場合はF4,800分の1とか決めてアンダー承知で撮ることもあるので、それを後で補正するとノイズが多いのだろうな
AF問題
α1は人を認識して追い続けるなどで優れているけど、暗い場所になると、急に合わない現象が発生。高感度に弱いことが影響しているのだろうなぁ。フィギュアなんかでは、人をばっちり追い続けるけど、エキシビジョンで暗い照明になるといきなりダメになる感じ
R3とZ9は暗いところでも割とAFが合うので評価は高かった。Z9は僕の使った感じでは3Dトラッキングでいきなり観客にピントが抜けてしまう現象があり、僕的評価はイマイチなんだけど、五輪カメラマンの高評価は意外だった
たぶん無観客なのでカメラが迷わないのと、みんなカメラを使いこなせていないので、スポットAFが多いのだろう
冬季五輪の撮影は一般とはちょっと違っていて
極寒での安定性
トリミング耐性
ノイズ耐性
AF
などが重要視されると思うけど、ミラーレスでクロップ撮影を多用するようになり、「画素数」も大きなポイントになっている感じ。この辺の肌感覚をキヤノンのR3では取り違えたのかも知れないなあ
その辺も考えるとやっぱ後出しジャンケンのニコンZ9がトータルバランスに優れていたということになる。僕としてはZ9が未熟なところも見られるのでぜひファームで対応して欲しいと思う
またキヤノンは来年に向けてフラグシップ機(R1?)を出してくると思うので、今の問題をすべてつぶし、素晴らしいカメラが出るに違いない
あとはソニーだけど、どれだけ報道を意識したカメラを出すかが未知数。ガチで良いものを出して欲しいけど、通常のユーザーを意識すると難しい気もする
今回は五輪という特殊な条件でバランス的にZ9が良かったという結果だったけど、客観的にみて普段使いではどれも素晴らしい。後は好みの問題かも知れません