よくTPOっていうと、パーティだとネクタイが必要とか、えりが必要とか服装のことを指すと思うけど、カメラマンにも撮影に応じたTPOがある
よく言われるのが国会の本会議場での服装。えり付きの上着が必要だ。僕は経験がないけど、Tシャツのままで本会議場に入ろうとすると、衛視さんに止められて、「これを着なさい!」といってブレザーを渡されるらしい
新聞社のカメラマンはまだマシなんだけど、テレビ関係は夏場に短パン、Tシャツなんて普通にいるものねぇ。短パンにブレザーって変じゃないか!
僕らのふだんの服装は、ラフなチノパンとカッターシャツが一般的。これだと上にブレザーを着れば、ちょっとした会議やパーティなどでも大丈夫。屋外でよごれてもあきらめが付く。ただし、安易にユニクロでそろえると、職場で上下とも同僚とかぶることがあるので注意!
あと気を付けるのが、重要な商品撮影などの場合だ。ガラスや金属の物撮りはカメラマンが映り込むことがあるので、できるだけ真っ黒な服装に気を付ける。最近では黒いマスクも必要。スタジオマンが全身黒い服装なんだけどそういう理由なんだ
物撮りと同じで、ジャニーズやAKBなどの舞台撮影でも黒い服装は必須。お客に目立たないように撮影する必要があるから。たまに知らずに白い服装などで来るカメラマンがいるけど、「経験がたりないなぁ」なんて陰口たたかれたりしている
TPOと言えば服装だけじゃない。場面にあわせた「撮影方法」が大事なんだ。例えば、新社長のインタビュー撮影。社長になったことを実感してもらうために物々しい機材を組んだりする。本当はストロボの天井バウンス一灯で撮れるのだけど、「要人はしっかり撮ります」みたいなスタンスで、巨大な傘バウンスの2灯で撮ったりする
同様に70歳越えの大物女優などの場合、直径180cmもあるジャンボアンブレラで撮ったりする。特に往年の女優さんは「傘は大きい方が良い」という意識が強いので大満足することがある
最近TPOがひとつ加わった。「無音撮影」だ。よく国家主席のインタビューなどでは、「気が散るので無音、ストロボ無しで」なんて条件が付くことがある。事前に分かっている時はミラーレスを使っているカメラマンが撮ることになる。大物になるほど無音の条件を付けることが多いねぇ
先日も無音撮影があった。「番組収録の現場」だ。本番収録中の俳優さん二人を撮ったけど、当然音や光を出せない。動くこともできず、固定位置から無音で撮ったが、レフ機だと撮影ができない場面だ。たぶん昔だったら本番のあとに俳優さんを収録と同じ場所に立たせて「撮影タイム」があったと思う。ミラーレスになって作法が変わったのだろうなぁ
いろんな現場を経験しないとカメラマンのTPOは分からない気がするなぁ。そこに「無音撮影」というTPOが加わったわけで、僕としてはミラーレス化が良い方向に進んだと思っている。レフ機を使う先輩に話したところ「いきなりミラーレスは難しすぎる」と言って後ずさりしていた。でもねぇ、「ミラーレスを覚えないと仕事が減る一方」と思うのだけど、あと5年で定年のようなカメラマンはこのままレフ機で逃げ切ってしまうのだろうなぁ
20年くらい前、最後まで銀塩カメラにしがみ付いて辞めて行った先輩たちを思い出した
