写真

泣きながらレタッチ

芸能人を撮影し、データをクライアントに納品すると、その先でいろんなドラマが起こる

通常、Webや雑誌の場合は掲載枚数の3倍くらいを目途に編集者に納品する。Webだったら5パターンの図柄を3枚ずつ、合計15枚くらい送る感じだ。僕は補正が早いので、その時点で補正画像を納品する。「撮って出し」を納品しても良いけど、その場合は後で編集者から補正依頼が来るのでやり取りが大変なのだ

カメラマンによっては「ピンぼけ」「ブレ」などを除外したすべての撮影データを納品する人もいる。ちょっとした原稿に数百枚の画像が送られてきたら編集者も困ると思うけど。また気に入らないカットが外部に出てしまうので、僕は絶対にやらない

芸能関係を撮るカメラマンはキホン、画像補正まで責任を持つ場合が多い。「補正はレタッチャーにお願いしてください」というカメラマンもいるけど、編集部によっては余計に費用が掛かるので、敬遠される傾向だ。逆に僕のように複雑な画像補正ができると撮影以外に付加価値が付くことは間違いない

半年ほど前だけどこんなドラマが起こった
芸能人を撮って、僕なりに完璧に仕上げて納品。編集者も気に入ってくれて、そのうち3枚がWeb掲載されることになった

今は芸能事務所のブランディング戦略がきびしく

「事前に見せないと取材は受けませんよ!」

という流れができあがってしまい、事務所から写真に対してレタッチの指示が戻ってきてしまったのだ

その内容たるや、チョー難解なもの。事務所は写真集の表紙のレタッチと同レベルの指示書を出してきたのだ。「小さなWeb掲載にこれだけ要望出すかよ!」と思いながら、1枚1時間、合計3時間かけて泣きながらレタッチを行った

ふつうレタッチの要望は多くないけど、たまに難しい要望が来てしまう。若いマネージャーさんが担当のことが多く、こちらの作業量が分からず、タレントをよく見せることに必死なのだろうね。それを証明するように、「大御所のマネージャーを20年やっています」みたいな人からはレタッチの要望が来たことはない。写真を見るのではなく、現場の僕の仕事ぶりを見て判断するのだろうね

通常の要望は

ホクロやシミを取って欲しい
ほうれい線や首のしわを目立たなくして欲しい

が定番。僕は立場が弱いので言われたとおりにレタッチするしかない

以前、「身長を104%に伸ばしてください」という要望があり驚いたことがある。なるほど、170cmの人だったら約177cmに伸びるので印象が大きく変わる。すべてのメディアに対して言っているみたいなので、統一性も計れる

でもそんなことやっていたら業界では「公然の秘密」にならないのかなぁ。そう思いながらレタッチを進めたことがある

今は簡単にiPadで画像が確認でき、同時に指示書まで作れるので、レタッチの要望は増える一方だ。レタッチが得意な僕としては撮影依頼が増えて良いけれど、補正が複雑化するのは考えものだなぁ

ほうれい線を薄く、上部右の肌のテカリを若干抑えた例
自然に見えるギリギリまでレタッチするのがコツ

レタッチと画像補正

どちらも作業に違いはないけど、芸能事務所は「レタッチ」、僕や編集者は「画像補正」という場合が多い。「レタッチ」の方が「ちょっとだけ微調整」みたいなニュアンスがあるので、事務所的には言いやすいのだろうなぁ

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