雑感

スタンドイン

テレビでよく観る女性芸能人の事務所に行った。雑誌の掲載なので、扉ページのポーズ写真、原稿に入るインタビューカット、隙間調整用のアナザーカットくらいあれば十分で通常の撮影だ。こういう場合は、最初にインタビューを撮影し、取材者と心が通じた後でポーズ写真を撮る方が表情も穏やかで結果が良い

取材が始まると予定が変わった。「メイクが崩れるとイヤなので先にポーズ写真を」と言われたのだ。想定外の流れにも「大丈夫です」と言って窓辺で撮影を開始。夕暮れだったので、窓からの光、室内のストロボ光などのバランスが難しく、影っぽく渋い感じだけど、目標とするキレイな写真に撮れていない。僕としては40点くらいの落第点だったけど、「最高です」などと言ってポーズ写真を撮り終える

人それぞれ、良い角度、良い瞬間、良い照明というのが異なり、インタビュー撮影をしているうちにそれらが分かってきた。撮る前から一見して分かるというカメラマンがいるけど、それはウソだと思うね。年配のとても美人な方だったので、よりきれいに撮るには最後にポーズ写真を撮るのが正解だったのだ

具体的には正面上から柔らかい光、キラキラするくらい明るい背景がピッタリだった。僕はこういう場合、迷わずマネージャーに再撮影を依頼する。恥ずかしいので言い出せないカメラマンもいるみたいだけど、僕は言い訳も言わず「思っているカットが撮れていないので・・」とお願いする

再撮影は外が暗くなっていたけど、窓の外から強いストロボ光を打ち、朝の窓辺に立つようなキレイで穏やかなカットに仕上がった。もちろん本人を含め関係者一同が大満足だ

今回のような流れは再撮影も行いやすいが、いきなりポーズ写真だけ撮るパターンもある。その場合はセットを組み、なるべく背丈や年齢の近い被写体に立ってもらいテスト撮影を行う。でも実際本人を撮るとイメージが違うこともあり、現場対応力がカメラマンの腕というものだ

先日、大物女優さんの大きなポスターを街で見かけ驚いたことがある。とても美人な方なのだけど、ライティングがひどすぎるのだ。顔に変な影が出て、美しさが半減している。これでもしっかりスタジオでライトを組み、テスト撮りも万全だと思うけど、本番での確認、対応力が不足しているような感じだ。撮影は売れっ子カメラマンと想像するが、実際写真の仕上がりに対して関係者がどう感じているのだろうねぇ

いきなり話がスケールアップするけど、例えば失敗が許されない大谷翔平選手のポーズ写真を広告で撮るような場合は?タイトなスケジュールの中、スタジオ滞在時間30分など普通だから、完璧に準備をして望まなければならない。そこで重要なのが「スタンドイン」と言われるテスト撮影だ。大谷選手にそっくりモデルさんが事前にスタジオ入りしてテスト撮影を行うのだ。カメラマンはポージングやライティングの事前チェックを行い、しかもそれを見てクライアントやディレクター、デザイナーなどが意見を出すので「スタンドイン」はとても重要なのだ。実際にそっくりモデルがいるのか知らないが億を超えるだろう仕事の規模からして、「スタンドイン」がないとは考えづらい。衣装もメイクも2人分必要なので大変だけど失敗はできないからね。この場合は現場対応力の要素が低くなるためクォリティが担保できる

まあ、エラそうに語る僕だけど、そっくりモデルさんを撮ったこともなく、広告の仕事もほとんどない。ただ、バタバタの中での現場対応力だけは自信があるので、お困りの方はご一報を。「スタンドイン」のご予算がなくても僕なら大丈夫です

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