写真

ポジフィルムに思うこと

最近クライアントからの案件でポジフィルムのスキャンを行っている。カメラマンへの依頼を不思議に思うかもしれないけど、

スキャン→トリミング→ゴミ取り→画像補正→写真説明の記入

など一貫して任せられるのはカメラマンしかいないということらしい。格安でスキャンする業者もいるけど、海外で作業する場合が多く、データの流出、ポジフィルムの紛失などリスクは大きい。しかも写真説明で別に国内で依頼する必要があるのでトータルで高くなる。なのでワンオペでデータ納品できる僕にお鉢が回ってきたらしい

フリーランスになって分かったことだけど、撮影の案件は均一にあるわけではなく、偏りがある。例えば雑誌関係だと「年末進行」といって年末年始に休むために11月から12月中旬までが忙しい。年末年始に撮影が少なくなるので、そこにスキャン作業を自分のペースで入れれば仕事も安定するというものだ。撮影依頼が殺到し「半年先までお受けできません!」というような状況だとスキャンの案件は受けないけどね

スキャンと言っても、最近は高画素ミラーレス機で撮影するのが一般的

年末から作業に入ったが、実際やってみると写真好きの僕だから気づきがあり楽しめる面もある

まず、ポジフィルムを見て思ったことはメーカーの違いによって褪色の具合が大きく異なること。特にコダックのコダクロームのポジフィルムは褪色に強いと言われ、実際30年以上経ってもほとんど褪色していない。反面、富士フイルムのフジクロームは褪色で色が悪い。当時の技術力の差を感じるね。ただ銀塩で巨人だったコダックもデジタルの波に乗れず、富士フイルムに追い抜かれるなんて時代の変化を感じるね

あと、機材の違いに驚いた。ライティングでいうと当時の機材は今のような多彩な機能がなく、とにかく安全重視で攻めた撮影が少ない。影の出ない天井バウンスのようなライティングが多い。80年代、90年代を思い出すと「斬新なライティングだけどたまに失敗するカメラマン」よりも「確実に写すカメラマン」の方が評価が高かったものね。遺されたポジフィルムがそれを語っている

もう一つ、ニッチなネタで、大事なシーンは2-3枚多めに残していることが多い。理由がわかるかな。デジタル世代だとビミョウな変化を収めるための連写だと思うよね。「ブブー、不正解!」 これは紛失対応なのだ。例えば出版社だと撮ったポジフィルムをポジのまま編集者に渡すことがある。編集作業後に返却されれば良いが紛失に遭うことも多い。そうすると保存したいシーンが残らないので、その対応なのだ

モニター越しにみるポジフィルムは「被写体の撮られる気持ち」が伝わってくる。髪を整え、背広やドレスで着飾り、撮られるということは非日常なのだ。iPhoneで簡単にキレイに写真が撮れるようになり、その緊張感は薄れてきた。最近、有名な新興企業の社長などを撮ることも多いが、Tシャツにジーパンなんて普通だものね。そう考えると写真が特別だった頃が懐かしくなった

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