雑感

姿を消した「鰻ごはん」

小学校の授業の一環で「こども写真教室」の担当をしていたことがある。報道カメラマンが先生になって子どもたちに写真を教える授業だ。基本は2日のコースで、1日目は写真の撮り方を説明した後、一人に1台のデジカメを貸し出し好きな写真を撮影してもらう。期間を開けた2日目は撮った写真をみんなの前で発表する。2008年ごろはスマホで写真を撮る文化がなく、カメラは子どもたちにとって特別で人気の授業だった

お昼前に授業を終えるとたまに「(ノーギャラなのでせめて)給食を食べていってください」と言われることがあった。試食用に2食程度の「予備分」というのがあるらしく、子どもたちに混ざっていただくことになる

学校給食なんて普通の大人は食べる機会がない。数十年前の記憶と比較しながら一口食べると「おいしい」の言葉しか出ない。僕らの時代は牛乳にコッペパン、メインのおかずと小皿で終了。ごはんは出た記憶がない。小学校低学年の頃までは牛乳の代わりに粉ミルクみたいな粉乳を水で溶いた、いわゆる「脱脂粉乳」が出てこれが美味しくなかった。今は子どもの意見を取り入れ、栄養士が「栄養バランス」「予算」「人気度」を考慮しながらメニューを決めている。麺類、ご飯、パンがローテーションで出てカレーライスや揚げパンなどが人気だ。僕の時代とは大きな違いだ

僕の小6の頃の献立表、5日は特別メニューでトンカツにプリン。
でも連日コッペパンで美味しかった思い出はないなぁ

好き嫌いやアレルギー対策も万全。例えば牛乳を飲めない子どもには豆乳が出たりするらしい。昔は食べられない食材が出ると「頑張って食べなさい」と先生に言われ、それでも食べられない子はクラスに居づらくなり、いじめられることも普通にあった。先生がいじめに加担する結果になり、隔世の感を感じずにはいられない

その給食制度が危機に瀕している。「食材の高騰」だ。これまで1食あたり食材費250円程度で作っていたものが350円くらいに高騰している。4000円-5000円程度の給食費を6000円程度に上げる必要があるらしい。給食費を無償化している全国の3割弱の自治体では保護者負担に変更はないが、しわ寄せで自治体の財政は悪化する

新聞で読んだが名古屋市では特別メニューとして年に数回提供していた「うなぎまぶし」(ひつまぶし風)を廃止するとのこと。ウナギだけで1食800円かかるため市が差額を負担していたらしいが、さすがに食材の高騰に予算を振り向けたほうが良いだろうね

東京都なんかは年間予算が19兆円、一人当たり年間で111万円ほどあるので何とか給食費無償化を続けられるらしいけど

戦後GHQの指導の下、混乱で十分な食事が取れなかった「欠食児童」たちの対策で始まった給食制度。子どもたちが教育の一環で配膳まで行う日本の給食は、世界でも珍しい。カフェテラス方式で無料もしくは低額で食べられる給食制度なら行っている国もある。食材の高騰で日本のような素晴らしい給食制度を維持するのは難しいけど、こんなに美味しいのだもの。ぜひとも続けてほしい

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