以前にも紹介したが、Profoto B10X というモノブロックストロボを使っている。小型軽量でバッテリー駆動、250Wsの大光量。出張撮影には最高のストロボだ。1灯20万円以上するけどね
ただし「プロが使うのにシンクロケーブルで発光できない」という不満もある。電波を使ったコマンダーが唯一の発光手段で、急に混信したり、最悪チャンネル変更が必要な場合がまれにある
それじゃ困るので「米田製作所」が考えたのが「Profoto B10X用シンクロユニット」(ぴかじろう3号機)というわけ。B10Xの筒状の背面に装着し、昔ながらのシンクロケーブルで確実に発光させるユニットだ
製作は簡単ではなかった。僕は工学部の電子工学科を出ているので電子工作が得意なはずだけど、30年くらいは電子工作をしていないので、その間の変化は大きいね
一番難しかったのが3Dプリンタでユニットを作ること。昔だったらアルミ板を加工してユニットを作るのだけど、時間もかかるし量産に向いていない。パソコン上で3Dの設計図を描いて3Dプリンタで造形するのが今の主流だ。プリント自体は外部に発注すれば良いが、その設計図を描くのがひと苦労。樹脂の収縮率を1%ほど見込むなど、設計にはちょっとした経験が必要なのだ。なんとか2度の試作プリントを経て完成した
3Dの設計図
3Dプリンタを自身で買ってプリントも可能だけど、温度管理やプリンタのクセを把握する必要があり、毎日稼働させている業者じゃないと想定のクオリティには仕上がらないね。今回はDMMというところでプリントしたけど最高の品質で7,000円ほどなのでオススメだ
その他の発見として中国製の台頭で「安くて高品質な部品」がゴロゴロある。例えば同じクラスのトランジスタが30年前は100円くらいだったものが、今は10個で100円だものね。1台の製品に組み込む電子部品の点数が増えているので、部品単価が下がる傾向なのだろうね。よく半導体不足が言われているが、スマホ用の最先端チップではなく「1個5円のトランジスタが20円になって困る」──そんな話なのだと思う
完成までに1ヶ月以上かかった「ぴかじろう」だが、動作や使い勝手は想像を超えて良い。何より自分だけの秘密兵器みたいで愛着が湧く。欲しい人がいたら販売も考えたけど、こんなニッチなユニットに需要があるはずないね
カメラ製品の販売って難しい。売れ筋では勝負せず、ニッチなテール市場で勝負する富士フイルムのような会社もある。ちょっとメーカーの気持ちが分かった電子工作だったね
僕としては現場で他のカメラマンに見せて自慢できるだけで満足だ。副業カメラマンが増え、撮影単価が下がっているけど、カメラマンもこれからは、ニッチなテール市場で生き残りを図る時代なのだろう。ちょっとした電子工作だったけどマクロ経済学で出てくる市場原理を垣間見た気がする
追記
いきなり「ぴかじろう」が3号機で登場したけど、これを凌駕する1号機、2号機がすでに稼働中。そのうち紹介するが、世界で僕しかできないライティングを可能とするもので、同業カメラマンが驚くレベルだと思う
