雑感

不平等なマークシート

年の瀬が近づきストーブを出す頃になると思い出す。大手予備校でしていた大学模試の採点のバイトを

僕は理系なので数学、物理、化学の採点が中心。予備校の会議室に大勢が缶詰になり、一斉に採点するイメージだけどそれは間違い。採点基準が決まっていて、予備校の事務所で大量の解答用紙がバサッと紙袋に入れられて渡される。個人情報の漏えいや紛失事故を避けて、原則採点は自宅で行う

スタバやシェアオフィスで採点している人を見たことないでしょ。移動も「飲み屋に忘れた人がいた」という話を聞いて、僕は自宅に直帰、採点後は予備校に直行していたなぁ。省庁の役人が「会議資料は絶対に庁舎の外に持ち出さない」の発想に近いものがある

バイト代は1枚50円ほど、数学は半分ほどが白紙なので効率が良い。模試とはいえ、答案越しに受験生の性格がにじみ出る。発想が素晴らしいのに説明不足の子。頭の回転が速すぎて中間説明を忘れる子など様々で、得点など関係なく「筋が良いので合格してほしい」と思うこともあった

たまに誰も思いつかないような美しすぎる解法に出会うことがある。それを同級生に紹介して盛り上がることもあったが、今の時代それも個人情報でダメなのだろうなぁ

このような「採点の楽しみ」の対極にいるのが、受験を楽しむ「受験マニア」

入学するつもりもなく、有名大学を受験し合格実績を重ねる人のことだ。「東大・京大・一橋・慶應・早稲田・上智・ICU」などを制覇する強者もいる。現在だと10大学ほどを一気に受験し、それをYouTube動画で公開する人もいる

また「生涯学習型」と言って仕事をしながら、毎年目標大学を決めて勉強する人もいる。大学から見れば入学率の低下はブランドイメージも低下させるので悩ましい問題でもある

そういう受験生の試験は私立大の場合、マークシート方式がほとんど。明治大学などは受験者が10万人以上もいるので仕方ないよね

国立大学の場合は、少ない定員に対して受験者が数倍なので記述試験が多い

試験が終わると、解答用紙ごとにまとめられ、採点基準にブレがないように、研究室の助手がすべてひとりで採点する。採点でトラブルでも起こすと汚点が付くので重大ミッションだ。作業に入ると、部屋を立入禁止にして、懸命に採点する助手もいる

無事採点作業が終わると、ここでも美しすぎる答案の話が出ることもある。証明問題で数十行かかっていた解法を数行で証明し、しかも例外が考えられないような場合だ

マークシートは合理的で公平だ。とりあえず鉛筆で埋めれば宝くじのナンバーズのように当たる可能性もある。結局、受験料収入が大事な私大は数をこなすためにマークシート方式しか選択肢がない。本来は答案の先にいる受験者と対話しながら合格者を決めるのが正しい方向性だろう。真のポテンシャルを持つ受験者が浮かび上がらないマークシートは「合理的で不平等」なのかも知れない

大学では、「受験はただの通過点」のような同級生がたくさんいた。僕のように万策を尽くして「合格が最終目標」のニンゲンとは格が違いすぎる。そういう知見を記述式試験は見いだせるが、マークシートでは僕の回答と凄い同級生の回答は同じになる。格の違いにコントラストがつかないマークシートはある意味不平等だと言える

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA