「ニコンの600mmF4の望遠レンズを落下させたら真っ二つに折れてしまった」
実際に後輩カメラマンが起こした破損事故だ
折れた100万円以上するレンズの修理費は__
10万円ちょっとの意外に安い見積もりが返ってきた。プロサービスの方に聞くと、破断を想定している場所で折れたので中玉のレンズとかに影響はなく、修理が可能だったとのこと。車の乗員を守るクラッシャブルゾーンのような感じだね。「想定通りの破損」ということだ
ただ、事故の経緯を聞いてみると、ちょっと目を離した隙に、通行人が三脚の脚にひっかかり、カメラが転倒したらしい。カメラマンが悪いか、通行人が悪いか微妙だが修理費よりも心の傷が大きかったのは確かだ
でも、これだけの破損が修理できたのは銀塩時代の話、今のミラーレスは「軽量、コンパクト、高性能」を求める反面、簡単に修理ができない
ニコンの600mmF4でいうと
銀塩時代 約5.6kg
Zマウント版 約3.2kg
約半分になっている。ソニーはもっと軽く最新式は約3kgだものね。昔は最低でも1脚がないと使えなかったけど、今は軽いボディを使えば手持ち撮影も可能だ
同時に、ブレ防止など複雑な機構を搭載するので、無駄な部分がなくなり、以前のようなクラッシャブルゾーンが確保できなくなった。それなのでちょっと落下させ、ピントの精度が出ないレンズなどは「買うと20万円、修理すると12万円」という感じが普通になった。600mmF4なんて本格修理になると50万円とか超えるかもしれない
商業的に見ると「軽量、コンパクト、高性能」じゃないと売れないから仕方ないよね。「堅牢さ」とはトレードオフの関係なので修理費がかさむのは仕方がないことだ
メーカーによっても堅牢性に違いがあると言われている
いろんな機種を試してきた僕の印象として大手3社を比べると
SONY < キヤノン < ニコン
で堅牢性だけに限っていうとニコンが高い印象だ
その原因はレンズマウントの規格と設計思想に起因すると思う
レンズマウント径は
SONY(46mm)、キヤノン(54mm)、ニコン(55mm)
SONYが極端に小さい。そもそもフルサイズのセンサーサイズの対角線が43mmだから3mmほどしか余裕がない。できるだけレンズを小さく軽くしたかったソニーの設計思想がわかるね。それで若者を中心に人気が出たのだから戦略としては正解だ
けれどマウント径が小さいとレンズ装着時の落下でマウント部分が破損することが多い。レンズという柱の付け根が細いので当たり前だよね
でも「堅牢なニコンが勝ち!」と行かないのが工業製品の面白いところ。ニコンの24-70mmF2.8は前のモデルが1070gと重く、最近発売のモデルは805gに軽量化されている。堅牢性の比較は分からないが、軽量化しないと売れないのは確かみたいだ
カメラの機材系ユーチューバーは新製品が出るたびにスペック比較でかまびすしいわけだけど、堅牢性を語っているのは見たことがない。またメーカーが製品の堅牢性を語ることは皆無だ。スマホなら堅牢性を売りにするものがあるけど、カメラに関しては自信を持って語れないのだろうな。とりあえず最近のカメラ機材は修理費がかかるので丁寧に扱うほうが良い
ちなみに機材を落下させると
位置エネルギー=重さ✕重力✕高さ
とニュートン力学の式が思い浮かび、位置エネルギーが機材を破損させる。よって「高さ」が少なくなれば破損は少なくなる。僕たちが床に置いたカメラバッグに機材を入れるのは理にかなっているね。ただ普通に使っていても壊れることはある
「修理費は上がるのに、撮影料金は下がる」
これじゃあ、レンズより先に僕たちの心が折れるよね