前回の芸能雑誌の続きです。仕事でどんな有名人を撮っても、平凡に一日が過ぎてゆく。初めて取材を受けるような方にとっては特別な一日。身だしなみも気合が入り、その思いを受け止めながらリラックスを心がけて、世間話を多めに入れます
毎日撮られている有名人などは、一応「はじめまして」くらいのあいさつはするけど、話を振られても迷惑なだけなので、システマチックに撮影が始まる
今日の若手アイドル系の男性は、撮影したテザー画像を確認して、逆にお勧めのポーズを提案され、けっこうノリノリの良い写真が撮れた。いつもこんな感じで、プロ同士が最高の写真を作り上げてゆく
ここで注意するのが「ファン目線」。ファンクラブにも入っている僕の大好きな女性歌手の撮影の時は「ファンクラブで応援しています」とあいさつ、彼女もすごく喜んでくれたのは良かったけど、お互いにハイテンションになり過ぎて、空回りぎみでうまく撮れなかった
「武道館のあの衣装、すごくよかったです」(僕)、「でも、夏なのに分厚い服でサウナ状態だったのですぅ」(彼女)みたいに盛り上がりはしたけど
どんな人を撮っても、90点狙いでその通りに僕は撮れるけど、その日は120点狙いで70点ほどしか撮れないのだ。後で考えると、「髪が長くてきれいなのでグリッドで髪に光を入れよう」など複雑すぎるセットで消化しきれなかったのだ
最近撮ったお笑いの女性などは、ギャグ半分、AKBのプロフィール写真風にライティングしたらメチャきれいに撮れてしまった。ほんと思い入れの無い芸能人の方がうまく撮れる
知っているアイドル系雑誌の編集長も言っていたけど、「ファン目線」の強いカメラマンは使いにくいらしい。特にアイドル系が好きなカメラマンは、新人の知らないようなアイドルでも「ファン目線」になってしまうとのこと。やはりプライベートを仕事に持ち込むのは良くないねぇ。でもある程度は有名人が好きじゃないと、撮っていてもつまらないだろうし、そのへんのバランスが大切じゃないかな
別の大好きな年配の歌手に会った時のこと。僕は「ファンです」とは名乗らずに淡々と撮ることにした。やっぱ名乗らない方が気負いもなく、満点の写真が撮れるのだ。それ以降は「ファン目線」は封印し、心の中で「ファンです」と叫びながら撮ることにしている
名乗ったところでサインをもらえるわけじゃなく、コロナが去ったとしても握手がしてもらえるわけじゃないからね
取材の大原則、「サインや記念写真はNG」と先輩に教わったが「ファン目線は避ける」を追加する
ちなみに広告やジャケット写真の撮影などでは、終了後にスタッフで芸能人を囲んでSNS用に記念写真を撮ることもあるらしい。取材では考えられないことなので、ちょっと隣の芝が青く見えてしまう
撮影でコロナの影響は出ていますか?
去年の今ごろは、テレビや映画の番組制作、映画や舞台の上演もストップ、撮影できる方が減ってしまい、それでも紙面を埋めなきゃならないので苦しい時期がありました。 今は制限はあるものの、合わなきゃ撮影できないので、影響は少なく毎日が流れます。ただ、芸能事務所などが感染を警戒し、まとめて短時間で撮る場合が多いです。つい先日だって3分30秒で3媒体分を撮るのがありました
有名人と会えて自慢できますか?
これがですね、業界のルールとして守秘義務があるのです。紙面に名前が載るので「誰々さん撮っていましたね」とよく言われるのですが、ぼかして「いい方でしたよ」位にしか答えられません。例えば「写真に注文付ける生意気な人でしたよ」なんて言って迷惑がかかるとまずいですよね。カメラマン同志では共有することもありますが、キホン取材上で知り得た内容は墓場まで持ってゆき自慢することはありません