スタジオなどで芸能人のポートレート撮るときに、前もって知らないとダメなことがある。それは
①「上下の服装」 ②「髪の分け目」
「上下の服装」が現場入り前にわかれば、背景色の準備ができる。例えば女性で真っ赤なワンピース姿なら、同系の赤や相性の良い黒バックが考えられる。それこそ広告の撮影だと、赤バックに赤い靴、赤いリップ、赤いイスなどオール赤で攻めることもある
タレント事務所と我々のあいだに、プロモーション会社や配給会社が入り、段取りの良い場合は、行く前に上下の服の写メをもらえたりする。逆に段取り最悪の場合は出たとこ勝負になる
「髪の分け目」はストロボのメイン光の位置決めで重要。分け目側からメイン光を打ってやれば、ひたいに落ちる髪の影が少なくなるのだ。雑誌の表紙なんか見ていると、おかまいなく光を入れて影でまくりも多く見る
くわえて、重要なことがある。「世界観」だ。暗いドラマの番組宣伝で、ドラマの「役柄」のまま撮るか、まったく違った感じに撮るか。その見極めが超難しいのだ。クライアントからの依頼案件なら、一番すり合わせておきたいことだ
以前、料理のドラマの番宣があり、主演女優が役柄通り、きれいなエプロン姿で出てきたことがある。これは「役柄」どおり元気いっぱいに撮って間違いないということだ
後日、同じ女優がこんどはホラー系のドラマで主演することになり、これは迷った。黒バック、白バックを持っていたけど、記者やマネージャーと話して、妖怪っぽくちょっと暗いけどお茶目なイメージで撮ることにした。若い女優なので、黒バックでもキュートな感じに仕上がった
以前に同僚カメラマンが「役柄」どおりに撮って大失敗したことがある。微妙な年齢の女優さんで、弁護士だか刑事役だったか忘れたけど、練達な役柄どおりにカッコよく撮ったら、女優さんから思い切りダメ出し。「役柄」に関係なく若々しく撮って欲しかったみたいで慌てて、ライティングを組み替えるも時間切れでアウト。撮れ高はボロボロだった
男優でも女優でもベテランを撮るときは、特に「役柄」の指定が無い場合は、若々しく撮るのが無難だ。それで文句いう人はいないし、読者も若々しい姿を見たいだろう
ストロボは正面気味に、要するにほうれい線と直角の位置。影が出にくいように左右2灯ライティングがキホンだ。最初は「このカメラマン大丈夫かなぁ?」というオーラが女優さんやマネージャーから送られてくるけど大丈夫
僕は最初に数枚撮ったところで、テザー画像を見せて関係者を安心させる作戦をよくとる。するとほとんどが出来栄えに満足して、あとはお任せモードで撮影が進行する
昨日の超大物女優の場合は、「撮った全部のコマをマネージャーがチェック」という手順だったが、最初の数コマのできを見て、「後はお願いします」と言われた。「このカメラマンなら間違いない」と思ってもらえたのだ。もちろんめちゃキレイに撮れていたと思う
これが「役柄」重視で作品的に撮っていたら、僕も自信がない。そう思っていつも安全サイドにキレイに撮る作戦が多い。これが有名写真家なら、どう撮っても誰も文句は言えないのだろうなぁ
ダメ出しの経験はありますか?
部署でも1年に何度かはダメ出しで「撮り直し」ということもありますが、さいわい僕には経験がありません。逆にダメ出し後に代打で僕が撮り直しにいったことは数回ありますよ。そのときは絶対に失敗できないのでメチャ緊張します
ダメ出しになりそうなことは?
行ったら、30分くらい進行が早い「巻き」があって、10分で機材をセットしたことがありました。さすがにこの時は焦って、テスト撮影なしなので、最初のうちは露出や光線加減がボロボロ。でもマネージャーがゆるい人だったので、なんとか最終カットあたりで、良いものが撮れ、それを女優さんに見せて大満足してもらえました