この東京五輪は競技を撮ることもなく、昼まではふつうのインタビューや一般取材を撮り、夕方から夜にかけては不本意ながら五輪で掲載する画像の補正を行っている。ふつうは僕のような撮り手は、自分の撮った画像だけの画像補正を行う。重要な画像をきれいに掲載したい場合は、社内の専門の職人さんに依頼して補正を行ってもらう。僕の担当する補正は、特Aクラスの難易度の高いもの。五輪で忙しく、腕の良い職人さんを確保できないので僕に回ってきたわけだ
この職人さんたち以上のスキルで僕は画像補正をする必要があり責任重大だ
このミッションって五輪デスクの指示なんだけど、これって
「料理人が足りない!料理できるなら手伝って!」
と言っているようなもの。ホントならちゃんとした料理人を連れてくるのがデスクの仕事なんだけど、いないから身近で済ませるなんて
でも画像補正の職人さんたちも、うまい下手があって、うまい人ばかりに難しい仕事が集中するので、その人を独占するのは難しくなる。うーん、カメラマンと一緒だね
連日、超特大の企画ものの画像を補正している。手早く補正する必要があり、それが何百万部も印刷されるので絶対に失敗はできない。補正の職人さんたちはそれがやりがいになるけど、僕は撮るほうが100倍ほど好きなのでイマイチテンションが上がらない
僕の五輪での今日の1日はこんな感じ
8時 出社、取材伝票の束をもらって振り分け、取材者に手配をかける
9時 写真コンクールの入選者への内定通知の発送作業
11時 紙面用の原稿の作成、送信
13時 都内で番宣の撮影、準備に30分、撮影は10分ほどで終了
15時 番宣で撮影した画像の入力、補正、保存
16時 写真コンクールの事務処理
17時 五輪の画像補正作業(この日は特大の画像1枚)
19時 画像補正のOKが出たので掲載処理
20時 紙面をゲラでチェック後帰社
1枚の画像補正に1時間以上かかっているけど、実は職人たちと比べてもこれは超早い。一般的な画像補正は画面で見ながら10分くらいで仕上げる。これが大きな企画もの(いわゆるグラフ)と呼ばれるメインの画像は、数時間くらいかかる職人もいる
画面で補正して印刷して結果をフィードバックするので時間がかかるのだ。ペーパーレスといっても、最後は印刷物というのが新聞社的なんだけど、これだけは30年後もかわらない気がする
そもそも入社したころ「画像補正はすぐに自動化されて、人が補正しなくなる」って言われていたのになぁ。カメラは良くなり画像もきれいになったけど、やっていることは変わらない