「クライアント」
というと、広告業界のコトバだと思うけど、仕事を発注する依頼主のことをさす。今では個人事業主などがかかえているお客さんなどをさす場合が多い
フリーカメラマンのばあいは、撮影依頼をしてくれるお客さんだ。当然クライアントを大切にしないと収入につながらない
僕の場合、名刺にはスタッフカメラマンなんてカッコ良いこと書いてあるけど、ただのサラリーマンで、クライアントがいるわけではない。社内のあらゆる部署から撮影依頼があり、それをデスクが振り分け、「取材依頼伝票」として僕に仕事が舞い込んでくるだけなのだ
なので毎日ランダムに仕事が来るわけで、午前中に選挙カーの政治家を追いかけていたと思ったら、午後は人気アイドルグループを撮ったりする。撮影が終わったらすぐにデータをシステムに入稿し、機材の充電ができれば、サッと家に帰る
キホン1日ごとに仕事がリセットされ、営業でクライアントをゲットするということもない。しいて言うなら
撮影の依頼部署=クライアント
みたいな感じかなぁ。でも社内の依頼なので、撮影料のやり取りなどもなく、一定のクオリティさえ保てば文句も言われない
「こんど町内会のお祭り撮ってよ!」
てきなノリで仕事を受けることもある。忙しい時は、重要じゃないものは断るのがデスクの仕事なんだけど、サラリーマンなら分かるよね。エライ人から個人的なつながりで舞い込んでくるような断れない仕事
依頼部署はキホン、カメラマンの指名はできないことになっている。デスクが重要度を見て割り振るが、やっぱりベテランカメラマンには重要な伝票が行く。ペン記者に聞いた話だけど、依頼でどのカメラマンが来るか気になるらしい。ヘタなカメラマンばかりくると
「自分の仕事はその程度かぁ」
とテンションが下がるそうだ。会社組織ならアルアルだよね
ヘタといっても、紙面で使える60点くらいの撮影はするわけで、会社員としては問題ない。でもここがスタッフカメラマンの弱点だと思うんだよね。もし、撮影料を伴うクライアントからの案件だとすると、60点のカメラマンに次も依頼するかビミョウなんだよねぇ。でもサラリーマンは、ダメ出しが出ない限りは、毎日が平穏にすごせてしまう
僕はこの辺の流れがとても良くないと思っていて、どんな仕事でもクライアントからの案件だと思って撮影することにしている。掲載予定の記事の内容、表現したい世界観など細かく依頼者に聞いて、連絡を密にとって仕事をすすめる。できる限り掲載前のゲラをチェックして問題があれば画像を差し替えたりする
週末にアイドルグループを撮った時なんかは、撮影前にグループの写った写真で8種類の背景色入れ込んだ見本を事前に作り、依頼したペン記者と念入りに色を選んだ。本番で服と背景色の対比がバッチリでとても喜ばれた。あまりにも良く撮れたので、もっと紙面で大展開できないかという話があるくらいだ
依頼したペン記者をクライアントとしてみれば、その対応も当たり前、でも逆に
「ていねいに対応しすぎだろう。仕事が増えるばかりだ」
「周りを気にせず感性で撮れ、あとは編集者が考えること」
という人もいる。でも
「前回撮ってもらって良かったので」
といってこっそり僕を指名してくるケースは多い。がんばっても給料ってそんなに変わらないので、楽して省エネで仕事をするという考えもあるけど、僕の場合はがんばって最高の紙面にしないと納得できない
楽して良い仕事をする
要するにこの2つの両立は才能がいると思うけど、僕には余裕がなくて後者を優先させているってことだろうなぁ
撮影でうれしいことは
撮影した人の活躍を見るとうれしくなります。芽が出そうな方を記者も選んで取材するので「見る目があるなぁ」とも思います。今週は1年ほど前に撮ったピアノの小林愛実さんがショパン国際コンクールで4位に輝きとてもうれしかったです。マンガ「ピアノの森」でこのコンクールがどれだけ大変かを知っているだけに、身内のように喜びました。
スタッフカメラマンのつらいところは
やはり依頼主を選べないというところだと思います。ペン記者によっては、的確な指示もなく「大体流れを撮って適当に送ってくれ」みたいな人がいて、あとになって書いた原稿と合わなくなり「別のこういうコマないか?」みたいに言われる場合があります。そういういいかげんな依頼は受けたくないのですが、サラリーマンである以上避けることができません。 これがフリーカメラマンだと依頼を断れば良いだけでうらやましいです