前回はアニメで「異世界転生」の話をしたけど、僕がちょっと似た「ありえない体験」をしたのでお話ししよう
僕は大学生の4年間、大阪市の梅田にある中華料理店でバイトをしていた。建て直して今も営業しているサウナとかカプセルホテルとかある「総合レジャーランド」的なビルで、当時、中華は8階と9階にあった。いつでも予約でいっぱいで、バイトはひたすら料理を運び、席を用意する単調な作業だったけど、シゴトが終わると、余った料理や、まかない飯を腹いっぱい食べられたので僕てきには「リア充」な毎日だった
プログラミングや家庭教師、専門学校の講師などのバイトも同時にしていたけど、僕としては体を動かして腹を満たす中華料理店のバイトが一番好きだったなぁ
年末の昼下がり、その「ありえない体験」は起こった
ちょうどお昼の客もはけ、店には客が一人もいなくなったころ、50代男性、40代女性と思われるカップルが入ってきて、しんみりと円卓を囲んだ。30分ほどしたころ
「おーい誰か来てくれ・・・」
とその50代男性の叫び声
あわてて駆けつけると男性が窓で懸命になにかしている。女性の姿が見えない
「大変だ、飛び降りたのかな?」
と思って近寄ると
男性が細身の女性の手をつかみ、今にも落ちそうなブラブラ状態なのだ
「これはドラマか?」
と思うような状況だったけど、僕はすぐさま窓から身を乗り出して、忘れもしない女性の革製のミニスカートを輪っか状に右手で掴んで、一気に部屋の中へ引き寄せた
店には従業員とそのカップルだけ。すぐさまホール責任者が近寄りスゴイ形相で
「ほかでやってくれ」
と容赦ない冷たい一言。女性はパンツ丸出しで床に体育すわりをして泣いている
言うまでもなく男女関係のもつれだろうけど、いきなり8階の窓から飛び降りようと思うかなぁ。お店には迷惑がかかること分からないかなぁ
10分ほど放置したら、少し落ち着いたのか静かに店を出て行った
結局、僕の人命救助によって事なきを得たわけだけど、今の僕だったらどうだろなぁ。結果として救助できたけど、引き上げる途中で手が滑り失敗に終わるかも知れない。後で警察に 事情聴取され、新聞には「従業員が救助を試みたものの・・・」と掲載される。一生、黒歴史がつきまとう。また道連れで僕も落下する可能性だってある。年を重ねるとそういうストーリーが浮かんでくるので、ひょっとして対応が違ったかも知れないね
アニメだと落ちた女性が「異世界転生」して、裕福な貴族の令嬢に生まれ変わったりするけど、その可能性は多分無い。今の僕だったら助けた後に「とにかく生きろ」とやさしく言うだろうね。40歳というとまだ人生の半分、転生しなくても、シーズン2でまだまだやり直せると思うので