40年ほど前、大学の特別講義で「核融合」の授業を受けた。OBで日本原子力研究所(原研)の研究員がその素晴らしさを講義してくれた。原研が語る「核融合技術」なので、未来の原子力発電のように誰もが思うよね。ところが全く別の技術で
原子力 → 核分裂によるエネルギー
核融合 → 核がくっつき生じるエネルギー
原子力(核分裂)
核融合と仕組みが違う。核分裂型の原子力発電は、反応が暴走しないよう常に冷却や制御棒による制御が必要だ。これに対し、核融合は外部からの加熱や磁場がなければ自然に反応が止まるため、事故時にも暴走の心配がない。とてもクリーンで安全なエネルギーなのだ。でも誰が「核融合」という物騒なネーミングを考えたのだろうね。英語で「Nuclear Fusion」(核+融合)なので日本はそのまま訳したのだろう。イメージを改めたいところだけど今更変えるのは難しく、仕方ないので学校では「誤解を解く教育」で対応しているようだ
当時、核融合を習った時、とても生きている間は無理かもと思ったけど、研究所レベルではめどが立ち25年後の2050年頃には商業運転を目指すそうだ。そうすると日本は発電用の石油や天然ガスを毎年海外から20兆円も買う必要がなくなる。さらにランニングコストは原子力発電の半分ほどなので、電気代が今の3分の1くらいになるだろうね。日本の製造業は高い電気代に苦しむことはなくなり、さらに競争力が増すかもしれない
少子高齢化などで将来が危ぶまれている日本だけれどエネルギー問題が解決すれば、
豊富な海洋資源(レアアース、メタンハイドレートなど)
世界一の債権国
改善余地の大きい政治や金の問題
などで意外と将来は明るいかもしれない。そのために「核融合技術」はゲームチェンジャーといえるのだ
いま主流の核融合炉は「トカマク型」と言って、強力な磁場を使って核を閉じ込める方式が主流で最も実用化レベルに近い。40年前、僕の大学では「レーザー核融合」といって核にレーザー光を当てて核融合を実現する研究を行っていた。しかし実用化には遠く現在研究は縮小されている。当然研究者も減らされるので多くが民間企業に転職している。ただ核融合研究って軍事力の一翼を担っているので転職は引く手あまたらしいのだ
【レーザー技術】
レーザーガン=光速で敵機やミサイルを正確に撃墜できる高出力のレーザー砲
【磁場の技術】
電磁カタパルト=空母から強力な磁力を使い戦闘機を離陸させる装置
レールガン=リニアモーターカーのように電気と磁力で砲弾を音速の数倍で打ち出す最新兵器
レールガン
トカマク型炉どれも最新の軍事の要だ。結局「核融合技術」は軍事でもゲームチェンジャーにもなっているわけで、これにAI技術が加わり拍車をかけている。人類の起源であるホモ・サピエンスが地上に生まれてから約30万年と言われるけど、その1万分の1の今後の30年という短い期間に世界は大きく変わろうとしている。もうわけ分からないね。新しいデジカメが発売されて驚いている場合じゃない
【補足】
僕の考えは別として、原子力が危険に感じられる説明をしたけれど、現在世界で注目されている小型原子炉(SMR)は、水中に設置して自然冷却を活用するなど、事故時でも外部電源なしで安全を保てる設計が多く、極めて安全性が高い。核融合炉が本格稼働するまでの“現実的な橋渡し技術”として、小型原子炉は有力視されている