僕はたまに写真販売サイトのピクスタに写真を登録している。ストックフォトの登録枚数は2000枚ほどと少なく、売上はせいぜい年間10万円程度だ。依頼撮影のない時間にできるので相性の良い穴埋め作業という感じだ
生活が成り立つ額ではないが、登録者44万人の中で毎月の販売順位は1000位前後なので、数字だけ見れば売れている方だ
トップ10層の登録枚数は10万枚を超える人も多く、それでも年収が1,000万円に届く人は少ない。売上はおおむね登録枚数に比例するが、撮影後にキャプションを入力、タグを付ける作業が大変なのだ。月に1000枚入力するのはかなりきつい。写真がうまければ売れるという単純な話ではなく、「量のゲーム」という側面が強い
そんなストックフォトの世界が最近ざわついている。理由はAI生成画像の台頭だ。例えばAIに
「ノートパソコンに向かってオンライン会議を行う20歳くらいの髪の長い日本人女性」というプロンプトを打ち込むと以下のような画像が生成される

何かの資料に使う場合はこれで十分、違和感もない
メリットも多く
・モデルリリース不要
・撮影コストゼロ
・修正無限(表情・服・背景)
・法的リスクが低い(実在人物でない)
を考えると「誰でもいい人物写真」はAIを使うのが正解だね。人物写真中心で活動していたストックフォトグラファーは、坂を転げ落ちるように売上を落としたらしい
では、どのような分野の写真が安定して需要があるか?
ずばり、「銀塩時代の記録写真」が有望だと思う。昨年、僕の一番売れた写真は1970年の大阪万博で、人であふれる会場を写した一枚だった。例えば1973年に渋谷の交差点がスクランブル化され、それを定点撮影で50年以上撮り続けた画像なら毎月数万円の売上があってもおかしくない
フィルムってまだ残っているけど、撮影者が亡くなると処分されることが多く、仮に捨てなくてもキャプションが残っていないので販売のために登録作業ができない
更に銀塩時代はフィルムが高かったので、撮るのは大半が記念写真で、記録写真はほとんど残っていない。そう考えるとストックフォトでは「何を撮るか」で勝負せずに「何を登録するか」が重要だね
僕の中学校、高校時代に撮ったネガがたくさんあるので、今年は予定を立ててスキャンしてストックフォトに登録しようと思う。現状の登録枚数2000枚じゃちょっと中途半端だものね。また買ってくれる人が増えれば、僕の写真が100年後までネット空間で生き続ける可能性も高くなるのでこんな嬉しいことはない
最近は写真をアートとして持ち上げる流れが強いが、反面記録性が軽んじられ、貴重な戦後のネガが消えようとしている。撮影者とネガが同時に残っているこの20年くらいが重要だといえるだろう。後世に写真を残さないと歴史的な評価は受けられないものね